時は1920年代。戦前の小型車であるオースチン・セブンがようやく世の中にお目見えした頃。

汽車や車の旅行が庶民にはとても手の届かなかった時代の、極めて贅沢な8日間トラベル・ウォッチ。

ブログでも詳しく紹介しています。

文字盤のひとつ一つが全て手描きで仕上げられた、まるで工芸品的な味わいのある製品です。

針は鉄を焼き入れすることにより仕上げられたブルースチール・ハンズ、いわゆる青焼針で、光が当たると極めて美しいメタリック・ブルーに輝きます。

当時の懐中時計には、装飾品としての価値を重視した金無垢や銀無垢ケースを採用することが多い中、この8デイズ・トラベル・ウォッチには、実用性を重視したニッケル無垢ケース採用されていました。

金や銀無垢よりも剛性が高く利便性に優れたニッケル・ケースは、新品時には銀無垢に近い輝きを見せますが、使い込んでゆくと黄色味を帯びた温かみのある佇まいに変化してゆくことで、極めて味わい深い外観となります。

レンズは、当時のオリジナルはガラス製ですが、新品のアクリル製が装着されており、万一の落下などでも割れる確率が極めて低く安心して実用にお使いいただけます。

ムーブメントは極めて精度の高いスイス製キャリバーが搭載されていることから、当時の高級品であることが分かります。

8日間の旅行用時計として専用設計されたムーブメントは極めて状態が良く、現在でも実用の時計として充分にご使用いただける驚愕のコンディションです。

この旅行用懐中時計には、時計本体と同じニッケル無垢製のアルバート・チェーンが付属しています。

ニッケル無垢製のチェーンは極めて生産数が少なく、現在状態の良いものを単体で探すことは極めて困難であると言えるでしょう。

ニッケル無垢製品にはホールマークなどはなく製造年などを特定するすべはありませんが、恐らくオリジナル・オーナーが時計本体を入手した際に付属していたチェーンであると思われます。