【 戦後型15石懐中時計 】
戦後スミス社は自社工場製の純英国製の懐中時計の生産に取り組み、極めて精度の高いムーブメントの開発に成功しました。1946年には「SMITH」のロゴだけが入ったモデルが登場し、その後、ロゴは「SMITHS」に変更されました。さらに、1950年代に入ると、腕時計と同様に15石高性能モデルはデラックスとなり、ロゴも「SMITHS De Luxe」となっています。
【 このモデルについて:15石搭載の銀無垢ケース懐中時計の最初期モデル 】
1946年より販売を開始した高性能ムーブメントを搭載した銀無垢デニソン・ケースの最高級懐中時計です。英国チェルトナムにあるスミス自社工場にて生産された15石ムーブメントは、スイス、ジャガールクルト社の技術が注ぎ込まれた一級品に仕上がっています。
■ケース:機能美が魅力の風格あるデニソン社製銀無垢ケース
英国の名門ケースメーカー、デニソン社製の銀無垢ケースは、外周にグリップ力を増すための繊細なラインが刻まれており、機能美が生んだ英国的な装飾と言えるでしょう。
また、裏蓋にも戦前からの伝統を取り入れた、高精細な装飾が施されており風格ある佇まいが、当時のフラッグシップに相応しい風格ある佇まいを感じさせます。
外径:50.7mm。
■文字盤:戦前の美意識を受け継ぐローマ数字と青焼針
戦前より長きに渡り守り続けて来たホワイトの地盤にブラックのローマ数字のインデックスとダブルサークルのインデックスのデザインには、創業1851年のスミス社の美意識を感じさせます。
繊細で極めて美しいデザインの、ブルースチールハンズ、いわゆる青焼針は光の当たり方で落ち着いたブラックや、鮮やかなメタリックブルーへと変化し極めて趣ある装飾的な要素の強い部分であると言えます。
■ムーブメント:スイスの技術を投入した高精度で美しいマスターピース
戦後間もなくスミス社は、この15石ハイクウォリティー・キャリバー搭載の懐中時計をリリースしました。それは戦前より計画されていた、スイス・ジャガールクルト社の技術を投入した英国チェルトナムのスミス自社工場での生産という、スミス社の長年のプロジェクトが実を結んだ証であると言えます。
その目的は、世界水準の高性能を誇るMaed in Englandのムーブメントの実現であり、当時のスミス社の意気込みは、裏蓋とダストカバーを開くと目に映る極めて美しいコート・ド・ジュネーブ加工とSMITHSの刻印により知ることが出来ます。
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【 コンディションについて:程良く使用され美しい佇まいを見せるニアミント 】
オリジナリティー(純正度)という意味では、100%と言える全てが、当時のスミスの部品で構成された個体です。また、外観の使用キズや文字盤や針のエイジングは最小限で、大切に使用されていた美しい佇まいを感じさせるニアミント・コンディションです。
■ケース:細かな使用キズのみの、自然な使用感が好ましい銀無垢ケース
部分的に極端な摩耗が生じていたり、落下による変形などのない、大切に使用されていたことが伝わってくる、自然な使用感が好ましい銀無垢ケースです。
蝶番付の裏蓋を開けた際に現れる、やはり蝶番付きダストカバーの内側には、オープナーによる工具キズが見られます。しかし、他の部分は極めて良い状態であると言えます。
■文字盤:経年による僅かなエイジングのみの美しい文字盤や青焼針
文字盤は、経年によるクリーム色に色好き、微かな表面のざらつきが見られますが、1946年より75年以上が経過した製品とは思えないほどの美しさと、ヴィンテージ・ウォッチならではの佇まいがあります。
凝った造形に形づくられた長短針、そして秒針は、微かなエイジングは見られるものの。光を強く受けると、はっとさせられる程に鮮やかなメタリック・ブルーに輝く青焼針の美しさは健在です。
■ムーブメント:徹底的に整備が施された高性能ムーブメント
美しいコート・ド・ジュネーブ加工や、そこに施されたSMITHSの刻印の魅力は見事に保たれており、外観上の美しさは全く損なわれていません。
また、スプリングなどの消耗部品の交換を含む専門店ならではのオーバーホールは、1946年にチェルトナム工場を出荷した時に限りなく近い状態を甦らせています。 |